こんにちは、接遇コンサルタントの磯貝和美です。
インフルエンザが全国で警報レベルを上回っているそうですね。
娘の保育園でも1人インフルエンザの子が出たらしいです。
あと1ヶ月ほど、何とかかからずに乗り切りたいですね~。
先日、久しぶりに「星野リゾートの教科書」を読みました。
2010年の本ですが、書店で平積みになっているのを見て思いだしました。
星野社長が自社の戦略、マネジメント、リーダーシップの参考とした本を
具体的な導入事例を交えて紹介している本です。
後半に書かれている従業員さんとの関わり方、リーダーシップの部分で
私が「うん、うん。」と思った箇所を中心にご紹介していきますね。
まず、指示待ちスタッフ、顧客満足度に鈍感なスタッフが多かったある施設で
「サービスの100%保証システム」を導入して意識改革を行った例です。
そもそも指示待ちスタッフが生まれる原因ってなんでしょうね。
本人たちに考える余地を与えなかった、考え方を教えなかった・・・ありがちです。
星野社長はスキー場のレストランメニューを使って「責任意識」を生み出しました。
多くの人が「おいしくなくて当たり前」とあきらめているスキー場のレストランだからこそ
主力メニューであるカレーライスに「おいしくなければ全額返金」の保証をつけました。
味に関係なく返金を求めるお客さまが増えるのでは、と懸念する現場をよそに
返金したのは1シーズン10万食を提供するうちの10件程度だったそうです。
最初の返金希望は開始3日目、理由を聞くと「ごはんがベトベトだった」とのこと。
スタッフが確かめると炊飯器の老朽化でごはんがしっかり炊けていなかったのです。
こうやってお客さまの声を聞く機会が生まれることでお客さまに意識が向くようになり
スタッフたちが自分のサービスに責任とプライドを持つようになりました。
サービスの現場でお客さまの本音(特に不満)を聞ける機会は非常に少ないです。
だからついつい忘れてしまうのです、お客さまに意識を向けることは簡単ではないのです。
この100%返金保証については色んな業界で取り入れていて賛否両論ですが・・・
どんな方法でも良いので、お客さまの気持ちを忘れないための取り組みが重要ですよね。
続いては、ヤン・カールソンの「真実の瞬間」を教科書とした事例です。
この真実の瞬間は私も読みましたが、サービスの基本的かつ必須の考え方ですね。
お客さまとスタッフが接するときを「真実の瞬間」と表現していて1回あたりは短い時間でも
おひとりのお客さまと繰り返される膨大な数の「真実の瞬間」での対応力によって
お客さまの満足度、企業への評価が決まっていくという考え方です。
同じ考え方をサービスは掛け算、サービスは足し算などと表現をする人もいますね。
「真実の瞬間」におけるスタッフの対応力向上がお客さまの満足につながるということで
スタッフが的確に判断できる材料として様々な経営情報を公開するとともに
「自分ならこんなサービスをしたい」を自由に発言できる体制をつくりあげたそうです。
社長の頭にあったのはリッツカールトンのエンパワーメント(権限委譲)制度。
1)上司の判断を仰がずに自分の判断で行動できること。
2)セクションの壁を超えて仕事を手伝うときは、自分の通常業務を離れること。
3)1日2000ドルまでの決裁権。
スタッフ一人ひとりに話を聞くと「こうやったらいいのにな~」をたくさん持ってるんです。
ただ、それを発言する場所や機会がなかったから言わなかっただけなんですよ。
お客さまの一番近くで働いているスタッフは多かれ少なかれ思うところはあるんです。
スタッフの心に秘めている想いこそ、企業のかけがえのない財産ではないでしょうか。
特に、新人さん(転職組)は立ち位置がお客さまに近いので新鮮な意見が出てきます。
やるかやらないかは別にして、みんなが自由に発言できる空気作りって大切ですよね。
長くなったのであと一つだけ。
お客さまお一人おひとりにピッタリのサービス(気配り)を実現するために
顧客情報を集約するシステム、その名も「CRMキッチン」を自社開発しているそうです。
お客さまの年齢、性別などのプロフィールや滞在日数などの利用情報をはじめ
アンケート方式による顧客満足度の調査データなどを1つにまとめることと並行して
接客したスタッフの「気づき」を全てメモ書きで提出してもらうようにしたとのこと。
「自分だけに向けたサービス」という特別感を感じたとき。
お客さまにとってまた来たいお店、誰かに紹介したい場所になると思います。
大がかりなシステムでなくて、手書きのお客さまカルテで良いのです。
クリニックは元からカルテがありますし、美容院もカルテを作成していますよね。
そこに担当者だけではなく全てのスタッフの気づきを書き込んでいますか?
美容院なら提供したドリンク、珈琲や紅茶ならお砂糖やミルクの有無まで。
「お飲み物はどちらになさいますか?」の代わりに「今日も珈琲がよろしいですか?」と。
お客さまの答えが「今日は紅茶にします」だったとしても覚えてくれていたことは嬉しいものです。
日頃の応対のなかで「あ!この方はこういうものがお好みなんだな」に敏感になってくださいね。
例えば、次の来店時にはその方のお好みに合いそうなインテリア雑誌をご用意するとかね。
数百円の経費で喜んでいただいて気持ちよくお過ごしいただけるなら安いものだと思いますよ。
今回も長くなりそうなので続きは次のブログにて・・・
サービス業&医療機関での接客研修、接遇研修、接遇コンサルティングはコンフォルトへ!